大物が捕食するタイミングは月齢に支配されている!「いつ釣れるか!」に迫る究極の時刻表「大漁時刻表」の紹介。シラガウニの販売も

枝本博人屋久島クチジロ石鯛枝本博人屋久島クチジロ石鯛2枝本博人屋久島クチジロ石鯛3枝本博人屋久島クチジロ石鯛4枝本博人屋久島クチジロ石鯛5枝本博人屋久島クチジロ石鯛6 読者の実釣報告

大漁時刻表web版石鯛餌通販

 

屋久島 前篇

2006年11月 執筆

トカラ列島中之島釣行! - 思い出のグンカン瀬・ビロ-(平瀬)

中之島はトカラ列島のほぼ中間点に位置し一番大きい島でポイントは風向きで東西南北と点在しているので安全な瀬に瀬替わりする事も容易に出来る。その中でも島の南東部に1級ポイントが多数集中している場所がある。
ビロ-(平瀬)を中心にグンカン瀬、屋久島瀬、パクパク瀬など魅力ある釣場が多い。

1995年(平成7年)6月上旬、釣り仲間8名にて定期船「十島丸」利用で遠征した時の話。
鹿児島港を深夜12時に出港、中之島には早朝6時半到着。この遠征期間は大きな勢力を持った小笠原高気圧に覆われ遥か南方の海上には熱低一つ無い天候で心配する事の無い最高のトカラ遠征となるはずでした。1日目は屋久島瀬・グンカン瀬に各1名残りの6名は大きなビロ-島を贅沢にも貸切った。
私はグンカン瀬に始めて一人で乗った。私は何処に行っても石鯛釣り1本である。この日もイシガキ鯛とカンムリベラ、テッカメン(魚名はゴマモンガラ)などとのんびり遊んでいた。たまたま中型イシガキ鯛2枚目を捕獲し高壇に置いていたク-ラ-へ丁寧に納め終わった時だった。後方の釣場の方で大きな波の音がした。何がなんだか解らない?振り向くと釣場の後ろの大きな水溜りに釣場に置いていたハンマ-やウニ切りハサミ、仕掛け針などすべて落とされていた。慌ててそれらを腕まで濡れて水溜りから拾い集めるのが精一杯であった。その時は自分にはまだ何が起こったか解らないままであった。そのはず、瀬の周りは波もなく穏やかなベタ凪状態である。
気を取り直し石鯛仕掛けを投入する。先程のイシガキ鯛を釣り上げるまでは手持ちでないともたないほど頻繁にゴツゴツアタリがあった。今回は手持ちで待つがまったくアタリ無し仕方なく置き竿にした。5分程度経過して仕掛けを回収しようとしたがこの海域の海底は根が荒くしかも潮の流れが非常にきつい為すぐ根掛りしてしまう。
結果的にはこれが幸いしたのであった。仕掛けが切れてしまった為又高壇に置いていた仕掛けバックの場所まで仕掛けの切れた竿を持って上がった。
その時、「グラッ」とメマイがした「ヤバイ!」と思ったが違う!メマイではない軍艦瀬はかなり大きな島であるが島の岩の中から「ド・ス-ン」という鈍い音がした。後ろの釣場の方を振り向くと釣場の前の海面全体がキュ-ッと2~3m以上下がるのを見て今度は逆に海面が盛り上がり一瞬の内に先程立って釣っていた釣り場所ごと飲み込んでしまった。唖然として見ていると海に横一線に盛り上がった波が西方面の立神めがけてキレイに進んで行くのを確認した。
その時始めて津波(第2波)である事に気が付いた。このトカラ列島は火山列島で現在も活発に爆発を繰り返す諏訪之瀬島の御岳をはじめたくさんの海中温泉とか硫黄の噴出しの多い島である。根掛りが私を救ってくれた事に私は感謝している。
ビロ-島で釣りをしていた友達はバッカンや道具類を多数流されたが全員無事であったので安心した。屋久島瀬に乗って釣りを楽しんでいた河野さんはまったくこの異変に気がつかなかった事でほんの一部分の小規模な津波だったのかもしれない。
対岸で釣りをしていた中野さんは私の乗っていた軍艦瀬に横一線なった波がぶつかり一部始終を見ていた。津波らしいものは島の東側の先端にぶつかり島の3分の2近くを完全に飲み込み西側の私の釣場は後方が高い為その近くで波は海面に流れ落ち私は難を逃れたそうだ。そんな危険な目に遭遇していた私は夕方回収後民宿にて皆の酒のつまみにされた。
でも本当に怖い恐ろしい貴重な体験をしました。皆さんも充分に気を付けて釣行を楽しんで下さい自然界の事で人為的対策は必ず救命具着用程度の対策しか終えない私達です。

 

釣人の最低マナ-厳守・古新聞紙の活用

このグンカン瀬にはもう一つ私の釣りのマナ-を変えた出来事があります。
私が枕崎港から近海船にてグンカン瀬で良型の口白2枚を釣り帰って来た翌週、まだアタリが頻繁にあったグンカン瀬に石川さんが燃えてチャレンジした時の話です。
私は彼らが帰って来るのが気がかりでした。トカラ遠征組が無事大漁で帰り着いた時いきなり言われた「グンカン瀬の一番高い場所に忘れ物があったよ!」それを探し出した瞬間石鯛釣りの闘志がメロメロになってしまったとの事。何か意味が解らない?しばらく考えたが解らない。問いただすと新聞紙をくれた。何だろう新聞紙を見ながら考えるが解らない。「これに包んで大の用足しは海に返しなさい・・・」そう言われて「ハッ!」 と気がついた。
前回大きい用足しを周りの釣人から見えないくぼみの場所を選んでした事を思い出した。石川さんは北アルプスをはじめ本格的登山が趣味の方で山でやむなく用たししたくなった時には登山道のわきにて新聞紙の上に済ませ穴を掘り埋めるそうです。それからの私は用足しはすべて新聞紙の中と決め釣りクラブのメンバ-や釣りの同行者、テレビ取材陣や雑誌取材陣にも指導してきた。
古新聞紙は非常に便利です。寒さ凌ぎに、焚き火の火付けに使う用途は多いです。皆さんもバックの中に新聞紙を入れて行くと便利ですよ!

 

ビロウ島(平瀬)ブツダンで振られた大型口白石鯛

トカラ南風丸の伊東さんが新しい船を降ろしたので「初瀬渡をしてあげる」と連絡を受けた。友達を誘うが急な釣行の為、仕事の段取りが付かず結局はひとり十島丸に飛び乗る事となった。中之島港に入港すると伊東船長は新しい船を廻してくれた。船名はくっきりと「トカラ南風丸」と書いてあった。トカラ南風丸の誕生である!彼は今ではジギング・大型魚の泳がせ釣りでトカラ海域の第一人者でありたくさんの大物釣りファンにかこまれ忙しく出漁しているが、当時は故郷の諏訪之瀬島に帰って来て間もない頃であった。
早速、ひとりの釣りの為、安全で大きいビロ-島のブツダンを船長は選んでくれた。
ブツダン瀬は非常に平で足場の良い釣場である。ポイントは西側、南側すべて足元を狙う事が出来4~5名は釣りが出来るA級ポイントである。
午前7時半シラガウニ2個掛けで南向きのポイントにまずは第1投を入れて見る。
欲を出し次ぎの予備竿の仕掛けを造ろうとしていた時、いきなり置き竿が海中めがけて突っ込んだ。不意を就かれた為見事な大おあわせのスッポヌケ!
すぐさま新しいウニ餌を付け替え同じポイントに投入。30秒もしないうちに
竿さきを押えた、手持ちで送るといとも簡単に竿に乗る・・・アワセを入れると竿は綺麗に弧を描き曲がり、簡単に浮いてきた魚はテッカメン(魚名ゴマモンガラ)の2Kgクラスであった。それからはさすがトカラ列島魚種の多さにはビックリであった。アカジョ、カンムリベラ、タキベラなどウニの芯餌にてガンガン釣れたが本命のアタリらしいものはまったく無い。あの広いブツダン瀬は私一人である。釣場は贅沢にもたくさんあり一番奥の左側のワレに釣座を変えてみた。先程のポイントよりかなり深い、少し沖目に投げ込む25mまで糸がでる。時計を見ると10時半を回っていた。
今日の最干潮は午前11時と記憶していたのでこの場所を後半戦の釣座と決めた。
それから1時間後であった。私の弧礁4.2の竿が微妙なおかしな揺れ方を始めた「オヤ何だろう?」と思った瞬間、ゆっくり竿がスロ-モションのように海面にお辞儀して強烈に海中めがけて突き刺さり、強烈すぎる締込みで、凄い勢いでリ-ルのドラグが滑り道糸が出て行く。先程までは小型クラスの魚ばかりでドラグを滑らせる大型魚との遭遇は無かった為ドラグ微調整を確認していなかったのが失敗であった。右手でドラグを締め付け糸の滑りをどうにか止める事が出来た。
それからは締込みに耐えながらポンピングした分だけをすばやくリ-ルに巻き取り海面近くまで巻き上げた「白い!クチジロだ!」しかも「大きい!」ゆっくり海面まで浮かせる事に成功!ゆうに70cmはオ-バ-の大型クチジロである事を確認。
針掛かりを確認すると何と針はクチジロの地獄ではなくくちの中の薄い皮1枚にかすかに掛かっているだけであった。誰か他に釣人が居れば玉網にてすくってもらうのだが残念ながら誰もいない。そんな時クチジロは最後の強烈な反撃に出てきた。「だめだ!バレル!」と思いながら竿で堪えた。魚は再度水面に横たわり。
「もうバレテも良い!」ワイヤ-をにぎり魚を取り込む事とした。今は最干潮釣座から海面までは3mはある、しかもこの場所は下の部分が潮で侵食されてオ-バ-ファングになっている為魚を宙ブラリンにしてあげなければならない。
仕方ないがワイヤ-を掴むしかない。勇気を出してワイヤ-をたぐる。魚の重量感が直接ワイヤ-をたぐる手に痛く、重く伝わってきた。どうにか口白石鯛を釣座の岩の上に引き摺り上げに成功!・・・がその時クチジロが跳ね上がり、口の中のハリがポロリとはずれてしまい海面にドボンと大きい音を出し落ちてしまった。
上から覗いて見ると大きな口白は横になってエラ呼吸だけをしている。トカラでなければ飛び込んで捕まえるのだがここはトカラ列島、まわりには3mクラスのサメがウヨウヨいる場所だし私ひとりしかこの場所に居ない。瀬の上に上がるにしても侵食した岩場が受け付けない。
ひとりで大声を出し悔やむが石鯛はまだ横になったまま5分程度したら頭を振りゆっくり海底深く元気に泳いでいった。
釣人の「逃げた魚は大きい」というが私にとってこれが一等一番のクチジロであったように思う。ちなみにこの後十島丸七航海連続釣行してこの大型口白を探し続けたがとうとう私の前に顔を出す事は無かった。
あの日の恋人(クチジロ)にもう一度逢いたい!ヨリをモドシたい!

 

ページトップへ