大物が捕食するタイミングは月齢に支配されている!「いつ釣れるか!」に迫る究極の時刻表「大漁時刻表」の紹介。シラガウニの販売も

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屋久島 前篇

2007年2月 執筆

口永良部釣行

口永良部島は屋久島の北西12Kmに位置する活火山の島で昭和41年に新岳が大爆発をした事で有名で今もなお噴煙を上げている。島には整備された天然温泉が3箇所もある。1泊2日の釣り時は必ず湯向港に瀬渡船を入れてもらい湯向温泉に浸かるのが楽しみの一つとなっている。
ポイントは大きく分けて島の南東部と北西部に多数集中している。北側にも面白い狙い目の穴場ポイントがいくつか点在するが、島が大きすぎて南東部のポイントに釣り人を多く降ろした時は巡回がままならず必然的に攻める回数が少なくなる様である。言い換えればまだまだ手付かずのポイントが残っているのが魅力である。
私が初めて口永良部釣行したのは平成元年の6月だった。屋久島へ友人と石鯛釣りに出かけた時、瀬渡船かめ丸の上山船長が「明日、口永良部へ行こうか?」と言い出す。口永良部島は今までに船の上から遠く見た事は何度もあったが行った事は1回もない島です。急きょ攻め先変更口永良部島と決定した。屋久島栗生港から約40~50分足らずで到着した。島の東側のドラゴン瀬が口永良部島の中で初めて足を入れた場所だった。なかなか足場が良く二人でもゆっくり竿が出せるポイントである。
同行者の池田君は海に向かって左側と中央に竿受け2本セット。私は空いた右端を攻める事とした。潮は左から右へ上げ潮がゆっくり動いている。持って行ったシラガウニを半分潰し足元に投入した。マキエを終えて1時間後真中に設置していた彼の石鯛竿がいきなり海中に突っ込んだ!「来た!」と叫ぶと同時に池田君は竿に飛び付き大合わせを入れた・・・・?見事な空あわせとなった。
少々慌ててタイミングが早すぎたみたい!残念!勿体ないアタリであった!
それから30分後またもや彼の竿にアタリが出るが走らない?そうこうする内にアタリが止まる。手持ちに変えて見る為竿受けピトンに手を掛けて竿を外そうとした時にその動きの動作が誘いになったのだろうか?強烈な締込みに変わった!ピトンから外れない!モタモタしている内に今度はリ-ルの少し上の部分までが海中にのされ凄い力で突っ込む!・・・左手の方向に一直線に竿が伸びきった!もう一本出していた彼の竿と交差しておまつりになる!私が手助けしようと竿に近づいた時には無情にも竿がピョンと跳ね返ってきた。道糸が切られたのだ。若い彼は近場の石鯛は何枚もこなしているので離島まで遠征しても自己流の釣り方を通して来たのが失敗を招いてしまったのだ。(竿は1本の方が無難である。)その後二人には何のアタリも無く終了。私には1回のアタリすら無い悲しい口永良部島釣り1日目であった。
その夜彼のタックルをチェックしてびっくりした。本日使用したリ-ルはいつも近場にて使用しているリ-ルで道糸20号が巻いていた。しかもリ-ルの肝心なドラグ調整はまったくせずにガチガチに締めたものを使用していた。道具バックの中には今回遠征に使用する目的の道糸30号を新たに巻きドラグの微調整したリ-ルが入ったままである。問い正すと彼は根掛かりが多いので大きい道糸は使用するのが怖かったそうだ。
道糸は自分の体力にあった号数にすべきである事と大きい道糸使用の場合は天秤方式に替え捨てオモリ仕掛けで攻めるように促す。
大物遭遇でバラス事は誰でも経験する事だがいろいろ工夫、努力する事で結果に結び付ける事が出来るのだから?しかも同じ瀬で二人で釣りをしている時には不注意のバラシにて相棒に多大な迷惑をかける事とドラグ調整さえしていれば竿を起せるし道糸を巻き取る事も出来る、のされればリ-ルから道糸が出るので次の動作に移れる。やり取りが長ければ長い程に大物石鯛を疲れ弱らせる!大物釣りでは大事な要因である事を付け加えて注意した。
2日目も彼と二人で口永良部島人気ナンバ-ワンの平瀬に渡礁した。平瀬は上げ潮、下げ潮両潮狙える低い細長い岩礁、これまた足場の良い釣場である。まずは彼に足場の良い船着場のV字に窪んだ場所を狙う様に指示して私は細長くのびた足場の悪い場所に構えた。潮は北東方面から上げ潮が差し込んできている。今日もウニ10Kgの半分を足で潰し足元にドンドン入れた。
昨日のドラゴンと違いガンガン石垣鯛のアタリが続き11時の満潮前までには私がイシガキ6枚、彼も1枚釣りあげた。それから潮の動きが止マリ。アタリもまったく遠のいてしまった。エサもかじらない綺麗なまんまである。今まではシラガウニの芯掛けですべて釣ってきたが餌も少なくなったので思い切ってシラガウニ丸掛け2個にして投入・・・底に着いてすぐだった。竿の穂先が上下に揺れる!「ハッ」として竿の近くに移動しようと思った時穂先と2番目がさらに大きく揺れる。何だろう?何が起こったのだろうか?その瞬間ゆっくり、スロ-モションを見ているように海中めがけてのめり込みリ-ルから凄い勢いで道糸が出て行く。さらに強烈に締め込む。細長い岩場の為走る事は出来ないモタモタしている内に左側の岩の向こう側に回られて瀬取られてしまい身動き一つしなくなる。油断と竿のセット場所の設定ミスが敗因となる。中小型イシガキは足場が悪くても簡単にものに出来たがさすが大型口白石鯛を捕るには身構え出来る場所を選定しなければ中途半端ではダメという大きな勉強を二人とも体験できたのが口永良部初釣りだった。
それから数年間、狙いに狙い枕崎港から直行便にて何回も攻め続けたが二度とこの様な大型口白独特なアタリは経験出来なかった。
それからは屋久島、トカラ、草垣群島、竹島などの口白を追い掛けまわし、すっかり忘れかけていた口永良部を思い出させてくれた船長が海星丸星田船長である。まったく私と彼とは面識がなく4年前の平成15年の4月宮崎県内の釣り人達が口永良部釣行して「何回も大型にバタバタやられた!3Kgクラスは何枚も釣れる!」という情報が2~3回入って来た。そこで昔を思い出し枕崎港の海星丸に初めて電話を入れた。いろいろ情報を聞き今度いつ出港するかと渡船料はいくらか尋ねて1回目は終えた。台風の影響が長く続いてやっと天候が回復した5月末2回目の電話を入れた時彼はいきなり「屋久島ばっかり行かんでたまには口永良部に行かんネ!」と宮崎弁丸出しで話かけてきた。この電話の一言で星田船長と私との付き合いが始まった!
後で聞いた話、彼は同じ宮崎市育ちで元宮崎石鯛クラブ所属の底物師であり、しかも同じ歳団塊の世代である!!それからはニヨン礁、湯瀬、黒島、草垣、もちろん口永良部島を主体に1泊2日の夜は船の中に泊めて貰い何故か気が合い、いろいろ世間話から苦労話など焼酎を飲みながら語り合い、お互いの子供の事など家庭の話まで入り込む間柄になっていった。海星丸で最初に出かけた口永良部釣行の時は南西の風が強く乗りたかった釣場には行く事が出来なく北側のハシカケというポイントを船長が薦めてくれた。そこは上げ潮ポイントで左下の低い釣座と右上の高い段から釣りが出来る。初めての釣場では攻め方が解らず1回目は下の段から攻めた。このポイントはほとんど石鯛釣り人が入らない場所の為撒き餌を大量に投入すると、撒餌入れて30分後から釣れるわ!釣れるわ!仕掛けを投入するたびに当たりが出る!カンムリベラ、青ブダイ、赤ブダイ、テッカメンなどシラガウニにガツガツと石鯛以外の魚が喰って来る。困ったもので嫌気が出て来た。しかも釣れる外道は半端じゃなく大きい型ばかりで疲れた。満潮の潮止まり前急に当たりが止まった。外道ばっかりで注意力散漫の私は完全に前アタリを見過ごし警戒もせず油断していたのだろう。
その時いきなり置き竿の弧礁420が綺麗に根元まで突っ込んだ!慌てた私は竿受けから外し竿に乗っているか確認もせず大空合わせを入れてしまう。10年振りの口永良部の懐かしい石鯛の挨拶だったが残念無念!待ちに待っていたのに情けなくなってしまう。気を取り直し新しいエサ(シラガウニ丸掛け)を付けて投入・・・すっかり忘れていた15年前の平瀬と同じ。エサが底に着くや否やまだ糸ふけも取っていない私が竿掛けに竿を掛ける動作の移った時それは凄かった!ゆっくりと私の左手に何か重い力が掛かり「オヤッ」と思った時には強烈な引く力、自分の体を海の中に引きずり込むような力に襲われ!反射的に大合わせを入れた!その瞬間、ガツンと確かな感触は感じたが一瞬に後方に尻餅を着かされた。道糸26号の高切れにあったのだ。後で解ったのだが左前方の下段のポイントでは2m程度の浅瀬の出っ張りがあり多分上げ潮が正面から押して来るので底はガマになっている地形であっただろう。そこから真正面に4.2mの竿を出した為ガマの中に引っ込まれ道糸の高切れとなってしまった。
この日はその後、まったく当たり無し、ボ-ズ釣行となる。釣り道具を片付ける時に右後方の上高段から左ハス方向に竿を出せばハエ根の浅瀬を交わせる事が判明した。又何時の日かこの場所で同じ失敗を繰り返さない様心掛けてこの大型魚に再挑戦、遭遇させたいものだ!初めての釣行時の2回の失敗談は昨年まで恥ずかしいので星田船長には黙っていた。「釣り人はいい加減なもので釣れた良い話は自慢話で語りまくるがそれよりも何十倍も多い強烈なバラシの失態の裏話は語ろうとしないいい気なもん!」と星田船長と大笑いした。私は彼の船が凄く愛称が良いのだろうか?必ず釣らしてもらっている。数回のボウズの時も正直言ってバラシか?走らせ出来なかった時であった。彼は元石鯛釣師だっただけに瀬の選び方そして釣人への勧め方が上手!!
ここまで原稿を書いた時とんでもない悲報が飛び込んで来た!
何と!星田船長急死の知らせである。あまりにも突然で折角出来た友を先に失った寂しさ、悲しさに襲われる
つい3週間前草垣群島7番にてセレブの恋人口白石鯛との久し振りの再会の場を作ってくれたのが最後となってしまった。
感謝するのみである。
釣春秋石鯛倶楽部先月号(2月号)の彼の原稿を想い出した!彼の事だから今頃は閻魔大王との密約にて天国行きの瀬渡船でルンルン気分でご活躍している事でしょう。

彼の好きな言葉・・「現金・ベタナギ・見回り無し!」
嫌な言葉・・「ボ-ズ・税務署!」
自慢出来る技・・鋭い感性を押し殺し他言しない事
主食・・ビ-ル

心からご冥福をお祈り致します。
海星丸星田船長の生きざま、人間味に乾杯!

合掌。友

 

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