大物が捕食するタイミングは月齢に支配されている!「いつ釣れるか!」に迫る究極の時刻表「大漁時刻表」の紹介。シラガウニの販売も

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屋久島 前篇

2007年3月 執筆

始めての70cmオーバー口白石鯛との遭遇

昭和50年から60年代にかけては屋久島は「口白石鯛」が代名詞で、いたる所で口白ラッシュが続いていた時期であった。昭和の終わりから平成に掛けてはそのブ-ムも終了して70cmクラスの大型が顔を出す機会が非常に少なくなって底物師の足も鈍り、訪れる釣人も少なくなっていた頃、昔の夢をもう一度と飽きずにただ一人通い続けたものの、いくら通っても中型、小型のイシガキが顔を出す程度であった。
平成元年の2月に栗生の立神で60cmの口白石鯛が顔を出した。翌年の2月ウマンバラで私と下村会長(九州磯連盟会長)とが竿を出している奥の方の釣場で赤貝で釣りをしていた岡山の若い釣人が70cmクラスの大型口白を釣り上げるのを目撃した。久し振りの大型魚であった。その当時は赤貝餌にて大型口白を捕獲する釣人の情報がポツポツ入ってきていた。
60cm台の口白石鯛は数枚釣り上げてはいたが70cmクラスの大型口白石鯛の強烈な引きは未だ体験した事が無かった私に、遂にその日が訪れた。石鯛一筋に熱く通い続けていた40歳前半の平成3年3月13日(旧暦27日)の事であった。
場所は屋久島湯泊港沖の湯泊大瀬の上げ潮ポイント(船着場)。ここが私の口白人生一本道の出発点になったようだ。
その時の光景はいまだに忘れる事が出来ずはっきりと脳裏に刻まれている。


夕食の宴の中、雑談での船長の一言で奴との出逢いが実現!

2泊3日の屋久島釣行を計画、その時は岡田君と二人での釣行であった。
1日目は二人でウマンバラを攻めるが海水温が低く餌取りのアタリも小さく、弱々しいアタリのみで終った。その晩、夕食の折、美味しい焼酎(三岳)を飲みながら大型クチジロの夢を抱いている二人は釣り談義に花を咲かせて一段と盛り上がっていた。上山船長が風呂から上り宴会に飛び入り参加した。今までに釣れた話やオオバラシの話を面白可笑しく話してくれた。
まだ見た事のない大型クチジロの夢を抱き、きっと何時の日か自分の前に現れてくれる日をただ信じながら話に夢中になっていた。まさか翌日、私の前に現れてくれるとはこの時点では想像もしていなかった。
我々はシラガウニのみで釣りをしていた頃であったが今回は使いなれない赤貝を準備する事にして大粒の赤貝(三郎貝)を鮮魚店より調達しての屋久島入り。
ついつい話に夢中になっている内に夜9時を回ってしまい。朝が早いので宴会は打ち上げて寝る事にする。最後に上山船長が「折角ウマンバラに撒餌を入れたのだから明日も同じ場所を攻めた方が良いと思うけど下げ潮の水温が低すぎるので午前中の下げ潮時間をすてて午後からの上げ潮のみで勝負で攻めたらどうかな?湯泊大瀬に場所替えしたら?」そこで連れの岡田君に今日と同じ場所のウマンバラをもう一度攻める様促すが彼は私と同じ場所の湯泊大瀬に行きたいとの事。今回は上山船長のアドバイスでもったいないけどウマンバラを捨てて二人して湯泊大瀬行きと決めて寝床に付く。
何か胸騒ぎして寝付かれない!明日の潮は朝6時が満潮で昼12時が干潮である。大瀬の場合は上げ潮ポイントなので朝から昼前の約6時間は下げ潮で逆潮になる反対にウマンバラの場合は下げ潮ポイントなので朝一番から集中して攻められる?釣り場所の選択ミス?不安でますます寝むれない。寝床に入って2時間程度いろいろ考えているうちにいつのまにか深い眠りについた。

 

中途半端でない強烈な引きの大型口白石鯛との初めての出逢い

2日目も天気は快晴!風も微風!気持良く起きる事が出来た。
回りはまだ薄暗い中、悩む事なく二人で湯泊大瀬に渡礁する。
二人で並んで竿を一本ずつ設置する。私の竿はいつも使用している弧礁420で短い石鯛竿。彼はがまかつ社の5.4mで並べて出すとかなり長く見えた。シラガウニの芯掛けや丸掛けで攻めてみる。朝9時過ぎまでは餌盗りか?本命か?区別しがたいアタリにほんろうされ続けた。
岡田君は昼からの上げ潮に期待してか?石鯛釣りを止めてメジナ釣りに変更!石鯛釣りのポイントの反対側へ持参してきた沖アミ入りのバッカンとメジナ竿を担いで行ってしまった。午前10時すぎシラガウニではさわりもしないので活きの良い大きな食用赤貝を4ツに切りさらに塩で揉み硬くして投入してみた。手持ちで待つがアタリ無し、仕方無く置き竿で待つ。
20分経過後静かに上げて見る。綺麗なまんまである。頭にきてさらに4個赤貝の塩漬けを追加。赤貝8個にして焼けクソ気味で投入。
それから竿掛けに掛けたままで待つ事約20分。赤貝むき身でも何にも変化も表れない穂先と潮の動かない海面の泡をボンヤリ眺めていた時、穂先をグ-ッと40cmぐらい押さえた。さらに1mぐらい押さえ込んだ!竿に飛びつき手持ち竿にする。何のアタリも伝わって来ない!静かにあげてみる。8個付けた大きな赤貝のむき身が1個半残って上がって来た。ワイヤ-には大きな歯型が付いている。まだその時までは大型クチジロのアタリすら知らない私は大型のイシガキフグだろうと思い真剣には考えなかった。再度同じ棚に同じ様に赤貝ムキ身を8個付けて手持ち竿で攻めてみるが、待てども反応無し・・・。実はこの仕掛けを投入した時底に着いてすぐ持った竿の手に何か何時もと違うかすかな感触を感じたが気にはしなかった。10分程度待ってもアタリが無いので仕掛けをあげてみる。やはり仕掛け投入直後魚が来ていたのだろう?餌はきれいに無くなっていた。またしてもワリスワイヤ-には大きな歯型のキンクまでついていた。先ほど回収した時の赤貝の喰いカスを握った時生ぬるかった事を思い出す。きっと底の方では暖かい上げ潮が動き出したのだろう?
すぐさま大きめのシラガウニ2個掛けで同じ場所に入れる。
待ってもアタリが無く。置き竿にする。すぐ近くでかまえていたが反応はまったく無し!「やはり赤貝餌でなければだめかも・・・?」と思い時計を見ると、午前11時少しまわっている、腹も空いた事だし少々早いが昼弁当を取り出し石鯛竿の真後ろで食べはじめた。弁当のおかずを見ながら竿先を見るこの動作を繰り返しながら半分ほど食べた時だった。自分の愛竿弧礁420の穂先がグ-ッとゆっくりおじきし始めた。弁当を横にポ-ンと放り投げ竿に飛びつく。間に合った!竿掛けから竿を外し終えて手持ちに変えた直後ゆっくり押さえていた穂先がスピ-ドを増し胴に凄い力が伝わってきた。思いっきり合わせを入れる。「ガツン」と手ごたえ充分!
今まで体験した事のない凄い締め込みに変わり。リ-ルからジ-ジ-唸りながら道糸26号が遠慮なく右方向に出て行く。ドラグを右手で締めて糸の出を止め竿の起しに入る。リ-ルを2・3回巻き上げると、また強烈な締め込みが襲ってくる。リ-ルから糸が容赦なく出て行く。必死に堪えてまたリ-ルを巻き上げる。
過去には大型エイや超大型のイシガキフグなどと何度か遭遇して来たが今回は今までのそれとはまったく違う!何奴か早く正体が見たい!必死に耐えながら強烈な締め込みをかわしながら瀬ズレワイヤ-のサルカンが見えた時一瞬がっかりした。
水面下の獲物が青白く見えたからだ!魚が違う!が又強烈な最後の締め込みにあう。
それを交わして強引に巻き上げると海面に「ドバッ」と浮上したのは今までに見た事のないシロだ!!足が震える!何とかして早く捕獲したいが 体が興奮して動かない!非常用の笛を取り出し「ピ-ピ-」鳴らして後方でメジナ釣りを楽しんでいる岡田君を呼んだがまったく反応が無い。仕方ないので一人で取り込む事にする。不安と緊張、興奮とで体が思うように動かずぎこちなくクチジロを海面に横たえさせたまま下の磯際まで降りて行った。ここまで来たら絶対!奴を逃がすわけにはいかない。決心して竿を立てて瀬ズレワイヤ-を掴んだ。ワイヤ-を掴んだ手には魚の重量感が伝わり手に食い込み痛い。初めての大物を必死で磯の上まで擦り上げた。
磯の上で横たわる姿は大きかった!感動した!メジャ-を取り出し寸法を測れば76cm重さは推定で8kgクラスの大型と思った。
あまりの感動でその魚の横に呆然として座り込んだ。岡田君が異変に気づいたのはその頃であった。彼もはじめて見る70cmオ-バ-に度肝を抜かれ喜んでくれた。ク-ラ-を持参していなかった為この口白は裏の水溜りに活かす事にした。私はこの魚に精魂使い果たし午後の釣りは止めてその水溜りのわきで感激にひたりぼんやりと時間を費やした。3日後この魚をク-ラ-に氷詰で宮崎まで持ち帰り検量したところ死後硬直などで3cm縮んで実寸73cm7k680gとなった。この魚は上山船長の一言で遭遇し取らせてもらう事の出来た貴重な1枚。
それからは始めたばかりのゴルフを完全に止めてゴルフ道具一式すべて処分!クチジロ一本道を歩み始めた。
釣り人生の目標は平成年間、南西諸島内にて70cmオ-バ-を5枚確保を最大目標に掲げ体が動く限りチャレンジして行くつもりだ。今年の2月に亡くなられた海星丸の星田船長に3枚目を取らせてもらい目標の60%達成。残された釣り人生で2枚に挑む!
今年5月で還暦の60歳と成る。
この祝いの年に欲張って後1枚、遭遇出来目標80%達成はさせて頂きたいものだ!
大好きだった作家の開高健さんのようにモンゴル平原の神様「デングリさま」に私もお願いしてみよう!
それから南西諸島の中でまだ一度も行ったことのない島硫黄島にも足を伸ばして見たい。

 

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